タスクの先送りの何がいけないの?
はじめに
私は、長らく「先送り」がなぜ議題に上がる疑問でした。
先送りの対策として、実行が容易になるレベルまで分解するというテクニックがあります。 これをスモールステップ。ベイビーステップなどと言いますが、この話は以前に書きました。
スモールステップに分解することで、実行の過程と終わりが見えるようになります。
分解したステップは並び替え、後は迷わず処理するだけ…
なのですが、実際は何らかの事情があり、「先送り」をしてしまいます。
何故「先送り」してしまうのか。
そして、「先送り」してしまうと何がいけないのか?
タスク管理をする上では、先送りは望ましくない行為なので、先送りをしないよう対策する方法が様々な方によって考えられています。
しかし、私は、真逆です。
先送りしても良いことならば、むしろ先送りすべきだと思っています。
この違いは一体どこから来るのでしょうか?
私はどうやら「先送り」をはじめ、タスク管理に対しての基本的な考え方が少し違うようです。
今回は、そのあたりの違いと背景や狙いなどを書いてみることにしました。
目次
タスクリストと予定外の事態
普通のタスクリストでは不向きなケース
タスクリストだけだと完了したか、完了してないかだけの二択しかあり得ません。
「そりゃそうだ」と思うでしょうが、この仕様だと対応しづらいことがあります。
それは、
変化です。
ちょっとした変化に弱すぎるのです。
予定外の事態とでもしましょう。
これが「先送り」を生む原因ではないかと私は考えます。
予定外の事態が先送りを生むならば、変化させないようにするというアプローチも効きそうです。
変化量をあらかじめ制御することができれば、変化に大きく左右されることはないからです。
この考え方をベースにすると日々のタスクを決まったルーチンに合わせていくいう方法論になります。
ただし、ルーチンに合わせるというのも適用できる場合とできない場合、向き、不向きがあります。
家事と仕事が良い例でしょう。
繰り返しのタスクに合わせやすい場合
家事は、基本的にはルーチンワークです。実行予測ができてタスク完了までの誤差の時間も限定的。
しかし、1日のタスクの中でも重要度が高いタスクを扱うので、先送りは極力しない方が望ましい。
なので、面倒に感じられないよう実行タイミングを変えたり、難度を下げたり、タスクリストを作ったり工夫することで対処をするわけですね。
スモールステップに工夫のひとつというわけですね。
具体的かつひとつのタスク自体が考えることなく実行できる単位まで分解することで、ほぼ無意識で動ける状態に近づける。
特に行動する時は最初の行動がキモですから、最初の行動を当たり前で簡単すぎるくらいにする。 少し進めた段階で終わりが見えるようにすると機能しやすいはずです。
具体例をひとつ。 「洗濯をする」タスクを分解しリストにするとこうなります。
- 洗濯機の前まで移動する
- 洗濯機の水栓を開ける
- 洗濯機のふたを開ける
- 洗濯する服をランドリーバスケットから洗濯機の浴槽に移す
- 洗濯機の主電源を入れる
- 洗濯機の運転スイッチを押す
- 衣類用洗剤を入れる
- 衣類用漂白剤を入れる
- 衣類用柔軟剤を洗濯機の投入口に入れる
- 洗濯機の蓋をふたを閉める
- 現在の時刻を確認する
- 洗濯物を干すためのハンガー、洗濯バサミを用意する
実際はここまでしなくても、
「洗濯をする」で処理できてしまうので、「洗濯をする」に関しては一つのタスクで機能するのですが、スモールステップに分解しタスクリストするとはこういうことです。
ただ、このようにリストできるのは、「洗濯をする」という行為が初めてではないからです。
類似した別の経験をしているか過去に同じタスクの経験をしているということです。
先送りの話に戻りましょう。
先送りの何がよくないかをもう一歩考えることにしましょう。
「洗濯をする」
というタスクを忙しいからという理由で、何日も何週間も先送りしたとしたらどうなるでしょうか?
洗濯すべき服はたまり、洗濯するのが億劫になり、やがて、清潔とは程遠い生活を送ることになり、最終的には私への評判も悪くなり他人が近寄らなくなるでしょう。
先送りで考えるべきはこれで、 先送りをした時どれだけ良くないことが起きるかを考慮するがポイントになります。
実行できるに越したことは無いですが、何でもかんでもタスクに分解すれば良いわけでもないのです。
先送りをしたときに、よくないことが起きるタスクで何かと実行が億劫になるタスクは分解すること。
そして、先送りしたとしてもよくないことによる影響が軽微になるように工夫をするわけです。
繰り返しのタスクに合わせにくい場合
仕事におけるタスクの場合です。
自身でコントロールできる裁量が大きい場合か、明確に作業指示や作業マニュアルがあり、ルーチンワーク主体の仕事の場合はともかく、 そうでない場合は予定外の事態が起きることがよくあります。
このような環境だと実行すべきタスクを分解し、リストにし、優先順位を決め、実行を進めようとしても、家事のようにはうまくいきません。
場合によっては、途中で全てを放棄して、別の仕事をやらなければならないという状況にすらなります。
こうなってくると、決めたことを淡々と処理するという考え方のタスク管理だけではカバーできなくなるのです。
家事でうまくいったからと、見通しを立てるためにスモールステップに分解する方法論を適用しようとするのですが、 過去に経験してない場合は、先行きの不安から実行しやすいタスクから割り当てがちです。
すると、リスト上は進んでいるように見えるものの、進めれば進めるほど別のタスクが生まれ、終わらないという事態に陥ります。
「先送り」恐怖症(≒「できない」から逃げたい気持ち)
別の視点でもう一つ。
タスクリストが正しく機能していると、リストを消化することで仕事が終えられるようになります。
これはこれで良いことなのですが、こうした成功体験を重ねていると知らず知らずの間に、
タスクを並べると全部処理しなければならない、全部処理できるはずだ
と、思い込みをすることがあります。
家事のように、ほぼ確実な実行完了までのプロセスがわかっている場合はともかく、 仕事のように、実行完了までのプロセスがわかっていたとしても、前提からひっくり返すような可能性があり、
タスクリストが消化できなくなる(=先送り)とタスクが消化できなくなること自体が怖くなります。
何せ、できないダメな私が逃げようのない事実として目の前に現れるわけですから。
怖くなったあとはどうするか?というと、
確実に処理できるわかりやすいタスクを割り当て実行を管理し始めるようになるのです。
確実に処理できるわかりやすいタスクの管理をすると、
タスクリストの消化は早くなるかもしれませんが、変化に対して脆弱な「できない状態」の悪循環が出来上がります。
ちょっとした変化に弱くなり、少しの遅れがさらに遅れを呼び、
実行できない重要なタスクが未来へ先送りされ、リストには実施のタスクがさらに積まれていくという状態です。
やがて、先送りした重要なタスクは、重要かつ緊急なタスクへと昇格し、優先順位付けをする暇もないようなより悲惨な状態な結果を迎えることでしょう。
こうした悲劇を避けるためには、どうしたら良いのでしょう?
続きは次回に書くとしましょう。
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